赤い狼 参






「う、そ…。」




私の小さな驚きの声が静かな部屋に響き渡る。




「嘘じゃねぇよ。"白兎コンポレーション株式会社"の社長令嬢さん?」




ニコリ、綺麗に笑った司の瞳には私の驚いた顔が映っている。



こいつが?


私の婚約者?私はこんな奴と結婚するの?私の、夫になるの?将来を共に過ごすの?







ただの、金ごときで?








ガラガラと、何かが崩れていく音がした。


でも、私は泣かない。いや、泣けない。こんな奴の前で泣くもんか。




「やっぱり知らなかったんだな。」




ハッと乾いた笑いを漏らして私を鋭く睨む司。


その司の目に一瞬、怯んだ。




「俺はお前が嫌いだ。」




司が私の胸ぐらを掴む。




「金持ちの家でぬくぬくと育ってきたお前がな!」




司が大きな声で怒鳴って腕を振り上げた。



殴られる!


そう思い、咄嗟に目を閉じる。






…………?




でも、くる筈の痛みがこなかった。



疑問に思いながらも恐る恐る目を開ける。



すると私の目に入ってきたのは司ではなく



「…ぶねっ!」



さっきまで大丈夫かと私が心配していた学だった。



学は私と司の間に割って入って司の拳を手で受け止めている。