「司、稚春の事…が好きなんだろ?」
傷みに耐えるようにして顔を歪ませる学に、胸が苦しくなった。
「…さぁな。」
「司!」
学の質問に無表情で答えた司は学の呼び掛けに反応せずに歩き出した。
「稚春に何かしたらいくら司でも容赦しねぇからな!」
学が大きな声で叫ぶ。
でも、司は反応しないまま歩く足を速める。
「何処、行くの?」
たった一言、司に話し掛けるだけなのに緊張する。
この人………苦手。
そう思いながら司が歩く度に響く振動で頭が痛くなるのを我慢していると
「お前と俺の部屋。」
ハッと吐き捨てるように笑った。
「私と…司の部屋?」
「俺を呼び捨てするなんてぃぃ度胸してんじゃねぇか。」
「ご、ごめんなさい…。」
いきなり低くなった声にビクつく。
この人の雰囲気は、私が一番嫌っている父親にそっくりだ。
何を言っても聞かない。
その、黙っているだけで周りを黙らせてしまう威圧感。
全てが、似ていて――…
恐怖感と嫌悪感しか沸いてこない。

