赤い狼 参






「私…さっ、」



「うん。」



「悔しっ、かったんだ。」



「うん。」




相槌をうつ香の声を聞きながら、滲む空を見つめる。




「私、皆に気を使われている事に気付かなくてっ。」



「うん。」



「皆、嘘付いてまで…私に隠していた事があった。


嘘が一番嫌いって、この前銀と奏が言ってたのに。」



「…。」



「でも、一番悔しいのはね。」



「…。」




実が私の手をギュッと握る。


それに応えるように私も実の手を握りしめる。



香はそんな私達をジッと見つめていて。




「隠し事をされたって事が、私だけ仲間外れだって、言われたみたいで悔しくて……「悲しかった?」」




え?と声がした方を見る。



すると今までジッと私を見ていた香が真剣な表情をしていた。




「稚春、それ"悔しい"じゃなくて"悲しい"って言うんだよ。」



「"悲しい"…?」




香が私の目を見つめる。



私の瞳が、グラグラと揺れる。




「うん。稚春、一人だけ取り残されたように感じて、悲しかったんでしょ?」




香の声が、静かに脳に響く。