赤い狼 参






「ふうん。」




実が空を見上げる。



その横顔を私はジーと見つめる。




「稚春はさ、ぃぃんじゃないの。」



「え?」



「そのままで、ぃぃんじゃないの。」




実がゆっくりと、穏やかな声で空に言い放つ。




その声は、何処か心地ぃぃ。




「そうかな…?」




自信なさげにポツリ、そう呟くと香が


そうだよ~。


といつも通りの声のトーンで返事をしてくる。




「私はそのままの稚春が好きだよ~。


無理せず、いつもの調子で稚春は稚春らしく
《SINE》の皆と過ごせばぃぃんじゃないのかなぁ。」



「っ、」




なんて嬉しい事を言ってくれるんだろう。




何も言わず香を見る。



すると、香はニコッと笑った。




「多分、《SINE》の皆もそう思ってるよ。」




ポロリ。



涙が一つ、また一つ、と。



床に落ちる。



雫が床の色を濃くしていく。