赤い狼 参






「稚春、どうしたの?」




泣くのを我慢する為に歯を食いしばっている私を見て、実が目を丸くする。




香は、心配そうに私の顔を覗いていて。




「…いっ、」



「「ん?」」



「悔しいっ。」




聞こえなかった。という風に私の方に耳を近付けてくる実と香に、小さく自分の思いをぶつける。




そんな私を実は


どうしたの、稚春がそんな事言うなんて。


と私の背中を擦る。




香は


ここじゃなんだから。


と私を立たせて教室の出入口へと一緒に歩いてくれた。




「ありがとう…。」



「ぃぃって。」



「だって、友達じゃんねぇ~。」




まだ泣いてはないものの、目の縁に溜まった涙で潤んでる瞳を二人に向けると


今は泣くなよ。ま、稚春は人前では泣かないか。


と実が私の頭をコツンッと小突く。




「うん…、大丈夫。まだ泣かない。」




私はもう泣きそうだ、と思いながらも俯いて歩いていると今度は香が腕を組んできた。




「こうやってれば涙、引っ込む~?」




そう言って私の顔を覗きこんでくる香に、もっと泣きそうになる。