赤い狼 参






「うるっせぇ。」




優魔が迷惑だと言いたげな冷たい視線を私に向けてくる。



でも、今の私にはそんな事なんて関係ない。




塚、気にしていられる余裕がない。




「どっ!」



「ど?」




下敷になっている朋さんが私の言葉に反応する。



でも、朋さんの声が普段とは違う距離で聞こえて。




「ぎゃっ!朋さん、お願いだから喋らないで!」




耳にフッと朋さんの吐息が当たるのが嫌な私は、朋さんから離れたい一心で首を前に出す。




でも、私は朋さんしか見えていなかった。




「あ!稚春、危ないで!」




慌てた様子の声が聞こえたな、と思ったと同時にムニッと柔らかい何かが私の唇に当たった。





…?




後ろに集中させていた意識を前に持ってくる。



すると、目の前には見た事のある右目だけ紫色の顔が。




………………






お互いにそのまま固まる。




そしてタラリ、こめかみから一筋の汗が垂れる。





そして、固まる事約10秒程。







「なぁああぁあぁ!!」







叫んだのは私でも優魔でもなく、龍だった。