「うるっせぇ。」
優魔が迷惑だと言いたげな冷たい視線を私に向けてくる。
でも、今の私にはそんな事なんて関係ない。
塚、気にしていられる余裕がない。
「どっ!」
「ど?」
下敷になっている朋さんが私の言葉に反応する。
でも、朋さんの声が普段とは違う距離で聞こえて。
「ぎゃっ!朋さん、お願いだから喋らないで!」
耳にフッと朋さんの吐息が当たるのが嫌な私は、朋さんから離れたい一心で首を前に出す。
でも、私は朋さんしか見えていなかった。
「あ!稚春、危ないで!」
慌てた様子の声が聞こえたな、と思ったと同時にムニッと柔らかい何かが私の唇に当たった。
…?
後ろに集中させていた意識を前に持ってくる。
すると、目の前には見た事のある右目だけ紫色の顔が。
………………
お互いにそのまま固まる。
そしてタラリ、こめかみから一筋の汗が垂れる。
そして、固まる事約10秒程。
「なぁああぁあぁ!!」
叫んだのは私でも優魔でもなく、龍だった。

