すると男の人はまた


おぉお。


と感動したように声を上げて



「稚春ちゃん、ありがとな。」



嬉しそうに笑った。




「え…、はい。料理は得意なので…。」




それが、なんだか嬉しかった。


人に感謝されるってぃぃな…

なんて思ってしまった。





駄目だ、そんな事を考えちゃ。



目をギュッと瞑る。




「あの、冷めない内に食べて下さい。美味しいかどうかは分かんないんですけど…。」




自信なさげに男の人を見ると、男の人は



「美味しいに決まってるじゃないか!」



と言って食べ始めた。



……なんか、緊張する。




「…どう…ですかね?」



恐る恐る男の人を見ると…




「えっ、」




切なそうに、笑っていた。




「不味かった…ですか?」



不安になる。



味が濃すぎた?


塩の加減が駄目だった?




グルグルと頭を回転させていると



「いや、思い出してね。」



男の人は何処か遠くを見るような目をした。