意外と力が強いんだな、と感心して気付く。
私、さっきからこの男の人の事を気に掛けすぎではないだろうか。
まるで、"好き"の感情みたいな。
そう考えて、"ないない"と首を振る。
大体…私、恋した事ないじゃん。
恋した事が無い奴が、何勝手に好きとか言ってるんだろうか。
………馬鹿らしい。
ふう、と息を吐いて足を軽く拳で叩く。
連が結構な間、私の上に乗っかっていたから足がじんじんと痺れているのだ。
「足、痛いのか?」
その様子に気付いた男の人が私の足を凝視する。
「いや…ちょっと。痺れちゃって。……っ!?」
ハハハと力なく笑うといきなり、視界が揺れた。
すると、フワリ。
オレンジのような、レモンのような、柑橘系の匂いが私の鼻を掠めた。
…ぃぃ匂い。
反射的に瞑った目をゆっくりと開ける。
「え゙…。」
そこで目に入ったのは男の人の顔。
しかも、かなりの至近距離だ。
「えっ?えっ?」
何故、男の人の顔が近くにあるのか状況が理解できずに混乱の声を漏らす。

