それに私が敵う訳がなくて。




「…から。」



「ん?聞こえねぇ。」



「…、隼人の笑った顔が…カッコ良かったから…っ、見とれてただけ!」



何で私がこんな恥ずかしい事を言わなければいけないんだろう。



ただ、隼人を少しの間だけ、見ていただけなのに。



「………っ。ぇ?」




恥ずかしくて目を瞑っていたら頭上から小さく声が聞こえた。

その声に反応して顔を上げると…――




「え?」




目の前に居る隼人が右手で自分の口を覆って目を見開いていた。


しかも、心なしか頬がほんの少し紅い気がして。



「隼人……。顔、赤いよ…?」



戸惑いながらも隼人に話し掛けると隼人の頬がもっと赤く色付いた。



「…うるせっ。」




隼人は焦った様子で勢いよく私から離れて顔を背ける。



でも、そのせいで分かってしまった。



……隼人、耳まで真っ赤だ―――




塚、私そんなに照れるような事言ったっけ?


大体、カッコぃぃとか言われ慣れてるだろうに。



その顔でそのルックスで。



そして、《SINE》の総長というブランドを背負っていて。


女が放っておかないだろうに。