「ん?どうしたの?棗。」




棗に視線を向けると



「稚春、悪いけど今から俺に近付かないでね。」



ニッコリと微笑みながら私から離れた。




「え、どういう…」




"どういう事?意味が分からないんだけど。"



棗にそう言おうと口を開いていたら背後からもの凄い殺気を感じた。



冷や汗がタラリ、背中を伝う。



分かる。後ろを振り向かなくても、分かる。



この殺気は私がよく知っている…筈。



これで確か、三回目だろう。





振り向くのが怖くて後ろを見れない。いや…、見たくない。



冷や汗が背中にまた、タラリ。



背中に伝う。




そして…




――ガシッ――




「ひっ!」





肩を後ろから急に掴まれて思わず上ずった声が出た。




「稚春ぅ?」



「はぃ…。」



「お前、連に何された?」



「え。」



「言えよ。」



「…頬っぺに…き、キスされました。」





――ブチッ――






私が連にキスされた事を言うと派手に何かが切れた音がした。