「…あ、ごめん。」
顔を上げて棗を見れば、棗の泣きそうな顔が目に入る。
…、私は棗のこの顔は嫌いだ。
しかも、私が原因だと思うと余計に嫌になる。
そして、棗がゆっくりとこっちに進んで来ていたら…
「何しにきた?」
隼人の、少し怒った声が聞こえてきた。
その瞬間。
ゴクリ、唾を呑む音が聞こえた。
多分銀達だろう。
目だけで周りを見渡すと、皆真剣な表情をしていた。
なるほど。
これを見る限り隼人と棗が喧嘩をする事があまり無いのが分かった。
それは生唾呑みたくもなるかな。
ボス対裏ボスって感じだもんね。
表から見たら隼人がボスなんだけど、日頃の指示は棗がしているようなものだからね。
《SINE》の仕事だって棗がほとんどしてるし。
あぁ、本当に棗ったらご苦労様ですって感じ。
今度カフェか何処かに誘って二人で語り合おう。
きっと棗は溜め込んでいるだろうから。
全部背負ってしまう傾向がある人だから。
きっと、俺が我慢してればぃぃんだ。って思ってるんだろうな。
塚、昨夜あんな事を棗にされたけど今、棗の心配してるって、おかしいのかな?

