「なぁ、稚春。」
珍しく、凄く優しい声色で呼ばれた。
本当、珍しい。
でも隼人の顔が近いから、どうしても隼人の口が耳元にきてしまう。
そのお陰で私の背筋にゾクゾクと甘い痺れが伝う。
…これはまさかのヤバい雰囲気なんじゃ…
思わず、体が固まる。
どうやら体も危機を察知したようだ。
「稚春。」
隼人が私の耳元で喋る。
その度に隼人の吐息がわたしの耳を掠めて、体がビクリ、反応を示す。
「…稚春、こっち向け。」
「な…んで?」
相変わらず囁くように喋る隼人の吐息が耳に当たって上手く喋れない。
でも、今は絶対に隼人の顔は見たくない。
…だって、こんな真っ赤な顔、見せられない。
絶対に隼人にだけは見られたくないと必死に動揺を出さずに問い掛けてみるけど、隼人には誤魔化しはきかない。
「稚春の顔が見てぇから。」
…恥ずかしくはないのかな。
私だったら絶対に言えないけど。
っていうか、今のはまずい。
ヤバすぎた。
素早く視線を下に向ける。
…うん、ヤバい。

