赤い狼 参






私なら出来る?


…何が?




頭に?マークを浮かべながら隼人を見る。



…今はそんな事より隼人が先だ。





手にグッと力を入れて、再び気合いを入れる。




そしてまた、ゆっくりと隼人に近付いていく。





…隼人の目の前に立つ。





でも隼人はずっと下を向いていて、動こうともしない。



何かを否定するかのように。




「隼人?」




現に、私が隼人の名前を呼んでもピクリとも動かないし、反応しない。




「隼人…。」




ゆっくりと隼人の頬に両手を伸ばす。




そして、隼人の顔を両手ですっぽりと包んで名前をもう一度呼ぶ。




「…隼人。」




すると、隼人は俯いていた顔を上げた。



自然と目が合う。




「稚…春?」




虚ろな瞳で私を見る隼人の目には、戸惑いが映っていた。




多分、此所に私が居る事に戸惑っているのだろう。




「うん。稚春…だよ。」




出来るだけ、笑って答える。





「…っ、稚春。俺…っ!助けてやれねぇで…ごめんな。」



「何で?助けてくれたじゃない。


私が気を失う寸前に棗の部屋に入ってきたの、隼人でしょ?嬉しかったよ、隼人。」




隼人は悪くなんて無いのに。



だから、謝らないで。