赤い狼 参






「…隼…人?」




恐る恐る隼人を呼んでみる。





「…。」




でも、隼人からの反応はない。




「隼人。」




もう一度、呼んでみる。




「…。」



それでも、隼人からの反応はない。




しょうがない。こうなったら…





意を決して、隼人にゆっくりと近付く。





――パキッ――





床に落ちているガラスの破片が、歩く度に音を立てる。




そして、ゆっくりと一直線に隼人の方へ向かう途中、床に横たわっている棗が視界に入った。




大丈夫だろうか。



近くで見ると、遠くからでは分からない傷が棗の体にたくさんついていた。



体や、顔の傷から、血が出ているものもある。



…痛そう。




これは銀達を呼ばなくちゃ。




"まずい"と頭の中で警報が鳴る。




「ぎ…んっ、」




死んでしまうかもしれない。




頭の中で、その言葉がグルグルと回る。




"嫌だ"と思えば、思う程、声が掠れて出ない。




しっかりしろ、自分。



自分で自分を奮い立たせる。