――ガチャッ――
あまりに静かな空間にドアが開く音だけが響く。
それが、とても怖く感じた。
そして、ドアが完全に開いて私の目に映った光景は―――
「…っ、」
血だらけで床に倒れて動かない棗と…
それをただただ見つめる、隼人だった。
その光景を見て体が震えた。
ブルッと。
"怖い"
そう、思った。
でも、隼人の背中があまりにも哀しそうで、寂しそうに見えた。
だから、私はほっとけなかったんだ…
あんなに儚くて、消えてしまいそうな隼人なんて、今まで見た事なかったから。
うぅん。
"見た事なかった"じゃなくて、"見せてなかった"だと思う。
総長って、一番上の立場だから。
"弱味"を、"弱さ"を簡単に出せる立場ではないから。
常に、皆の憧れでないといけないから。
…それだけではない気がするけど。
でも、今の私にはこれ以上は踏み込んじゃいけないっていうのは分かってる。
…だから、今は見て見ぬフリをする。
いつか…隼人が自分から話してくれる日が来るまで。

