赤い狼 参






「え、ちょっと!離して!」



「稚春ちゃんは行かねぇ方がぃぃ。」




離してと言ったのに、全く離す気配がない。



それに、いつもより真面目だ。


何で引き止めるの。



行かなくちゃ。後悔したくない。




ただ、そう思う。



「離してってば!」



「駄目だ。稚春ちゃんは行っちゃ駄目だ。」



何度も離してと言っているのに。


しかも、力が半端なく強い。



男と女の力じゃ、たかが知れてる。

それを証明させるように、私がどんなに力強く掴まれている腕を振り回しても、離れる気配はない。




離せと言っているのに。



この男は。




「銀!」




馬鹿じゃないのか。


隼人や棗が大変な事になってるかもしれないじゃない。




まだ、諦めずに腕をブンブンと振り回している私に、銀は真剣な目付きで見てくる。




「もう一度言う。稚春ちゃんは行かねぇ方がぃぃ。稚春ちゃんの為だ。」




私の為?意味が分からない。




「私は今、出来る事がしたいの!私の為を思うんだったらこの手を離して。」




真剣な眼差しで見つめてくる銀の目を真っ直ぐ見る。