「え、ちょっと!離して!」
「稚春ちゃんは行かねぇ方がぃぃ。」
離してと言ったのに、全く離す気配がない。
それに、いつもより真面目だ。
何で引き止めるの。
行かなくちゃ。後悔したくない。
ただ、そう思う。
「離してってば!」
「駄目だ。稚春ちゃんは行っちゃ駄目だ。」
何度も離してと言っているのに。
しかも、力が半端なく強い。
男と女の力じゃ、たかが知れてる。
それを証明させるように、私がどんなに力強く掴まれている腕を振り回しても、離れる気配はない。
離せと言っているのに。
この男は。
「銀!」
馬鹿じゃないのか。
隼人や棗が大変な事になってるかもしれないじゃない。
まだ、諦めずに腕をブンブンと振り回している私に、銀は真剣な目付きで見てくる。
「もう一度言う。稚春ちゃんは行かねぇ方がぃぃ。稚春ちゃんの為だ。」
私の為?意味が分からない。
「私は今、出来る事がしたいの!私の為を思うんだったらこの手を離して。」
真剣な眼差しで見つめてくる銀の目を真っ直ぐ見る。

