赤い狼 参






そして、その手は私の顎をクイッと持ち上げる。




それによって棗と私の目線が合う。




棗は真剣な眼差しをして







「稚春…俺、お前の事……っ、」







何かを言い掛けて止めた。




…?



頭に?マークが浮かぶ。



私が何?



不思議に思いながらも棗を見つめると




「フッ、やっぱり鈍感…。」




棗が聞き捨てならない言葉を吐いて顔を私に近付けてきた。




…これは…






ヤバい。




逃げようと思ったのに、逃げられない。




体が、何かの魔法に掛かったように固まってて。



嫌なら、逃げればぃぃのに。




駄目だ、駄目。



こんな事をしては。



脳にそう言い聞かせている間にも、棗の顔はどんどん近付いてくる。




私は、隼人の彼女なのに。



今、棗とキスしようとしてる。


こんなの、人間として駄目だ。




必死に、そう頭に言い聞かせたけど目の前には…











棗の顔が普通ではあり得ないくらい近くにあった。