「つぅーか、何で倒れてたんだ?路地裏なんかで。」
今まで目を閉じて腕組みをして黙っていた銀が目を開いて龍を見る。
「あぁ、何か女の家出てブラブラしとる途中に絡まれたらしい。
そないに詳しくは聞いとらんからそれ以上は分からんわ。」
「家を出てきた?家出か?」
「いや、それが家出じゃ無いらしいんや。
なんや真剣な顔で、"大事な奴の為にしなきゃなんねぇ事がある。
だから家から仕方なく出てきた。でも、俺が出てきたから今は安心だ。"って言うてたな。」
「大事な奴の為…?」
「おぉ。今思えば、その大事な奴っちゅうのが稚春やったって事やろうけど。」
なるほどな。
だから稚春を見る表情が哀しそうだったのか。
せっかく稚春の為に家に出てきたのに見つかっちまったからな。
出てきた意味が無くなっちまう。
じゃぁ、祐の名字が違うのは意図的に変えたって事か?
考えられるのは、稚春に見付からない為に名字をわざわざ変えたって事だ。
でも、そこまで徹底的にするか?
人なんていっぱい居るんだ。
ましてや、この辺の街なんかもっと。
簡単には見付からねぇと思うが…
まぁ、祐って奴がただ単に慎重な奴だったのかもな。

