赤い狼 参






「稚春。」



「何。」



「キスしてぇ。」



「うん。って…え!?」




何処の病院に行こうか迷っていたから、正直に言って棗の話を聞いてなかった。



今の…





幻聴!?




何だったんだ!?と焦って棗を見ると、棗はいつになく真剣な眼差しを私に向けていて。



さっき聞こえたのは幻聴じゃなかったんだと分かった。




「誰と?」




棗は誰とキスしたいんだろう。



まさかとは思うが、私ではあるまいな。



塚、さっきしてしまったじゃないか!




NOオォオオォォオォ!!




私の人生での一生の不覚!



っていうかキスとか、もう隼人とか棗とかにもされてるから、不覚なんていっぱいあるんだけどね!




さっきした棗とのキスを思い出してしまったから顔が熱くなった。



…絶対に今、私の顔真っ赤だ。


鏡を見たらきっとゆでダコより真っ赤に違いない。





うんうん。と一人で納得していると





「分かってるんだろ?稚春とキスしたい。」





棗の大きな手が私の顔に伸びてきて、反射的に目を瞑る。