「ちょ、なつ…「黙れ。」…んっ、」
両手で棗の胸を押し返そうと必死にもがくけど棗の右手によって両手を捕まれ、体重を掛けられたから抵抗出来なくなった。
しかも、"黙れ"って…
棗の人格が変わってるんですけど!
「ん…、んーー、んーん!」
棗と私の唇が強く合わさってるから声が出ない。
何もせず、ただ強く重ねられた唇が熱く熱を帯びているのが分かる。
私なのか、棗なのかなんて、分からない程に。
「んんっ、んーん!」
でもひとまず、何故こうなったのかを理解しなければ。
もう一度、些細な抵抗として、声を出してみる。
声と言っても、棗に口を塞がれてまともな声じゃないけど。
「…んー!ん「黙れって言わなかったっけ?」」
棗が口を離して私を上から見下ろす。
その、いつもと違う口調に少しだけドキッとした。
射るような目で見つめてくる棗。
でも、その瞳の奥には深い哀しみが潜んでいる気がする。

