――チュッ――
軽いリップ音が聞こえた。
――…って、え?
「な、に「無防備。」
何されたのか分からず、動揺しているとクスッと棗が笑って舌で自分の唇を舐めた。
「む…?」
聞き取れなかったから棗の目を見つめて、"聞こえなかった"とアピールする。
「もう一度言っ「無防備。」」
棗は私が聞こえてなかったのが分かっていたらしく、妖しく笑った。
でも
「もう一回…ぃぃ?」
そう聞いてきた棗の目はなんだか…
哀しそうで、寂しそうだった。
…どうしたの?何でそんな顔するの?
…………何でそんなに懐かしそうな顔をするの?
誰と、重ねてるの?
「棗…。」
棗が消えちゃいそうで、いつの間にか覆い被さるような体勢になっていた棗の首に腕を回す。
「何…?稚春。」
何って、棗、気付いてないの?
「棗、泣きそうだから。」
涙目の棗を見つめる。
「…そんな事…な「あるでしょ。」」
顔を逸らそうとした棗の顔を棗の首に回していた腕をほどき、両手で阻止する。

