『あの!』

奏ちゃんの声に少し驚いて、俺は思わず携帯電話へ視線を合わせた。

「どうかした?」

俺の問いかけに、奏ちゃんは一瞬言葉に詰まった様に黙ってしまったが、躊躇いがちに話を続けた。

『あの。お礼と言っては何なのですが、今度、お茶でもいかがですか?』

思い掛けない言葉に、俺は鼓動を抑えるのに必死だった。

「それはデートに誘ってくれているのかな?」

俺はこの余裕のなさを伝えまいと、なるべくいつも通りに女の子と接する様な態度を心掛けた。

『・・・はい。』

しばらくの沈黙の後に帰って来た返事に、俺は言葉を失った。

この反応は、ヤバイ。可愛すぎる。

俺は、思わず出そうになった言葉を、咄嗟に手で押さえ込んだ。