いつか君を忘れるまで

「キミが、店長呼んでくれたの?ありがとう。」

そう言うと、じっと俺を見つめていた女の子が、何かを思い出そうとする様に首を傾けているのが見て取れた。

「あ~。俺、そこの本屋の・・・。」

『何処かで見たことあるな』と彼女の顔に書いてあったので、俺は自分から名乗り出る事にした。

「ああ!本屋のお兄さん。ありがとうございました。」

合点がいった表情をした彼女は、改めて深々と頭を下げた。

「あの人達、何度断ってもしつこくて困ってたんです。」

そう言う彼女は、ホッとした表情で微笑んだ。

「いやいや、お礼なんて。目の前で困っている人を見捨てるわけにはいかないから。」

冷静にそう返したが、彼女の綺麗な微笑みに、俺は胸の鼓動が高鳴ってしまっていた。