長い沈黙が続く。
  
「わかんない。」
 
だろうね。
 
「相手は誰?」
 
うん。だからさ、この話をしているんだ。
 
「続き、話してもいいか?」
 
「・・・あんまり聞きたくない。」
 
窓わきからひんやりとした風が流れてくる。
 
寒いはずだ。
 
「外、ずいぶん雪が積もってきたな。」
 
歩いている人が辛そうに傘をさしていた。
 
ふと、目の前を見ると雅美の手がまごついている。
 
「寒い?」
 
「全然平気。」
 
そう言って雅美はまだ温かいコーヒーカップに手を当てた。
 
そんな悲しそうな顔で見ないでおくれ。
 
決心が揺らぎそうだ。