「いたたたた…」

「ごめんね?ほんまにごめん!怪我ない?」



じーんと痛む頭をさすって顔を上げた。

私を覗き込んだのは…ネコみたいにくりっとしたつり目の和風美人さん。


ストレートの艶髪がサラっと揺れて良い香りがした。



「あっ、うん…平気。私もボーッとしてたのが悪いねん」

「違うよー!どう見たってあたしが悪いんやから!」

「いやいや、私が…」

「いーやっ、あたし…」

「………」

「………」



「…プッ……クククッ…」

「…ククッ…アハハハハ…」



思わず…和風美人さんと笑ってしまった。

お互いに譲らないなんてこの子も結構頑固者なのかな…?


「フフッ、ほんまにごめんね!あたし高橋 美桜って言うねん、仲良くしてな」


ロッカーに貼られた名前を見た。




高橋 美桜 (タカハシ ミオ)


美しい桜と書いて美桜…。


彼女にピッタリな名前だと思った。

それに比べて…



「あっ…私……蓮見 華凛って言うねん…こちらこそ仲良くして下さい…」


華のように凛とした女性になるように…って。両親がつけてくれた名前。


完全に名前負けしてるよ私…。



「華凛?めっちゃ可愛い名前やなぁ…華凛って呼んでもええ?」

「そんなっ!私なんて名前負けしてるやん。美桜ちゃんの方が可愛いわぁ……名は体を表すってこの事やわ……」

「…クククッ……華凛って…変な子やなぁ。それに美桜でええよ!」