涙が残る頬を拭ってくるっと前に向き直った。

こんな姿誰にも見られたくなかったのに…。


どうしてよりによって……

















「…何で泣いてんねん……」



奏くんなの…?





さっきまで私がいた自動販売機の曲がり角に立ってる彼は…、彼の顔は…。

すごく…怒っ……てる?




「…奏…くんこそ……ど…したん…?」

「オレ?ここ地元やもん。…そんな事より何やねん、そんな……」

「………」

「傷ついた顔して…」






ぶわって涙が溢れてきた。

どうしてこの人はわかっちゃうんだろう。
私が傷ついたなんて…、どうしてわかってくれたの?



お父さんを傷つけた事より琴美さんの話をされた時より…。

私が捨てられたって思ってしまう位…寂しかったって事。


お父さんがどこかに行っちゃう気がしたの。
幸せになってほしいのに…寂しかった……。




「…うぅ……ごめ……ごめん………」

「……とりあえずあそこで話そう」



奏くんが優しく肩を抱いて公園に連れてってくれた。
私に触れる指が暖かくて、彼の心の優しさが伝わって…余計に泣けてくる。