今まで歩いてた足が止まった。

規則正しく前に進んでた足がピタッと停止して、目の前が真っ暗になる…。



苦しくて苦しくて…。
胸の中が黒く塗りつぶされてくみたいだよ。




「…華凛……?」


今まで私を支えてた物が消えて…ガラガラと音を立てて崩れてく。

お父さんが大切にしてるものは何があっても変わらないって思ってた。


私とアツと……お母さんだって……。

信じてたのに。






どうして今になってこんなに悲しくなるんだろう。

泣きたく…なるの……?




「…お父さん……私………ほんまはどうしていいかわからんねん……ちょっと………ごめんなさい」








それだけ言って、お父さんの横を駆け抜けた。

ロビーを抜けて回転扉を勢いよく押す。



外に出た時にはもう……










涙が出てた。


幸せになって欲しいって思った…。

お父さんの笑った顔が見たいって…、ちゃんと思ってた。



けど私はやっぱり子供だったんだ。

こんなに…、こんなに……。








お父さんの幸せを願う事が出来ないなんて…。