カチャカチャ カチャカチャ


食べ終わったお皿を念入りに洗う。
今日の夕飯はお父さんの大好きな餃子だった。私も好物ではあるけど洗う時なかなかラー油が落ちないのが面倒だから食べに行く方が好き。



「…よし、洗い物終了っと…」

キュッとお湯を切って布巾で手を拭いた。

学校から帰ってから私の仕事はこれだけじゃ終わらない。
夕飯の買い物をしてお風呂のお湯を溜めて、夕飯を作って洗濯物をたたむ…。


普通のお母さん達と…同じ事をする。

それでも小学生の弟が学校から帰ってきたら洗濯物だけ取り込んでくれたり、1番最後にお風呂に入るお父さんが疲れているのに洗ってくれたり……。


家族が助け合って生活してるのは確か。















家には…、お母さんがいない。

私が中学校に上がって初めての夏休み、交通事故でこの世を去った。

まだ35歳の若さだった。

それから男手一つで育ててくれたお父さん…。
お父さんだって辛くて寂しかったに違いないのに。

私達の為にいつも笑顔を持ち帰ってきてくれた。





「華凛ー!ちょっとええかー?」

「はーい」



ソファーでくつろぐお父さんの隣に座った。
L字型のソファーは…、私が端っこ、ちょうどLの曲がる部分にお父さん、そしてその隣に弟の敦(アツ)が座るのがお決まりになってる。

いつものお父さんの隣に座って、少し緊張しながら出てくる言葉を待った。