降り出した雨と

べたつく蒸し暑さ



あの日の雨粒の音が

忘れられない













「…って、おい……華凛聞いてへんやん」

「へ?…あっ、ごめんね。何やったっけ?」


雨が続く毎日。
今日も私は食堂でお昼を食べてる。

私…いや、正確には私達かな。


あの雨の日から一転、何かと理由をつけて来なかった美桜が食堂に来るようになった。

今まで来なかった原因は…もしかして奏くん…?


触れちゃいけない気がしてどうしてもあの日の事を聞く事が出来ない…。


“美桜と奏くんって…何かあったの?”


そう聞く事がこんなに難しいなんて。




「だーかーら、ほんまにわからん奴やな!華凛は予定大丈夫か聞いてんねん」

「……予定…?」

「おい…、お前まさか全く聞いてなかったっちゅーオチだけはやめてや」

「…………」

「…………」

「誰かー、こいつの両腕押さえたってー!」

「やだやだやだやだっ!!ほんまにごめん!ちゃんと聞くからもう1回言って…」



もう定位置になった新ちゃんの隣でやられる私。
当たり前になりつつある光景が正直居心地良くなってたりするんだ。

カナミ、小春ちゃんが言うからかな…。


仲良くなったから…?




私は新平くんの事を新ちゃんって呼び方に変えた。

初めて呼んだ時の新ちゃんの顔……、テーブルについた肘がずる…って落ちて、まるでコントみたいだった。


それから耳まで真っ赤にして

「なっ、何やねん!」

って…何故か怒ってたっけ。