―ダムッ、ダムッ、ダムッ―



―キュッ、キュキュッ―




「こっち!パスパース!」

「アホかっ!そんな簡単に行かせへんわ!!」














ボールが軽快なリズムで跳ねる。

それを追いかけるような靴の音。


ダムダム……、キュッ、キュッ……。



目の前を走り抜けていく彼の額には汗が光っていた。









「はー…、ほんまに上手かったんやね…」

「んー、中学でもあの2人はちょっとした有名人やったしね」


隣に座る美桜が話してくれた。



「新平くんと奏くんはずっとライバルやねん。…中学時代も何回対戦したかわからへんし」

「……ふーん………」




見たかったな…その時の奏くん。

絶対にドキドキした。



美桜は知ってるんだよね、昔からの奏くんを…。

こんなに無邪気に笑う彼を。






「あーー、ちょっと待てやぁ!…もう俺降参……」

「何やねん、根性なし。大地だってバスケ部やったくせに…」

「元なっ!元バスケ部!!…中学卒業してからは新平達みたいにやってへんもん……」

「カーッ!言い訳する男は嫌われんで……。あっ、華凛タオル投げて!」



新ちゃんのバックを漁ったら私が誕生日にプレゼントしたタオルが入ってた。

使ってくれてるんだなー…なんて、ちょっと嬉しくなっちゃう。



「何で荷物見て笑ってんねん……こわー……」



タオルを受け取った新ちゃんに気味悪がられた。


はい……確かに。今の私は気持ち悪かったよね……認めます。