「まぁ…さ、これからどうなっていくか、誰にもわからへんやん。…恋って…それがいいんやん?」



おすすめケーキを一口食べてニコッて笑った。

琴美さんがそう言うと…そんな気もしてきちゃう。



私は………






諦めないとダメだと思ってた。

彼に好きな人がいる時点で可能性はないから…。

私の想いは邪魔なだけ。



でも、違うんだね。





好きを……殺す必要なんてないんだ。


私は琴美さんみたいに振り向かせる事は無理かもしれないけど、好きでいる事は罪じゃないんだね。


彼の事…、秘密だけど好きでいるのは自由なんだ。




「…うん……恋する気持ちを…辞める必要ないねんな。何か……つっかえてた物が取れたかも!」


もう…涙は流れなかった。




今日どんな気持ちで琴美さんがこの店に連れて来てくれたのか…。

考えるだけで胸が熱くなる。


琴美さんとお父さんの大切な店。




優しくて素敵なマスター。





ホッとする……キャラメルラテの香り。


私が今よりずーっと大人になって……。

人を愛する気持ちを知ったら。








その相手を連れてきたいな。


そして…こっそりマスターに見定めてもらおう。



「よしよし!それが華凛ちゃんの本当の笑顔やね!」



そう言って笑う琴美さんに心の中でお礼を言った。





“ありがとう”って。