「あたしあの店好きなんやけど…行ってもええかな?」
「あっ、私も好きな店や!」
「ほんま?…やだ、新作出てるやん!華凛ちゃん早く!!」
ポカポカした陽射しの中、少しだけ冷たい風が吹いた。
色とりどりのレンガの上には黄色い枯れ葉の絨毯。
私と街を歩くのは……
「琴美さんって……見た目と全然違うんやね」
「そうやなー…、ちょっと子供っぽい所あるねん……ハハッ…華凛とええ勝負や」
お気に入りのお店のディスプレイを眺める琴美さんと、笑いながら歩くお父さん。
カレンダーで3連休の今日……、私達3人は買い物に来ていた。
琴美さんは夏に紹介されたあの日以来、週の半分は家に来てる。
最初はぎこちなかった私達も、一緒に料理したり夕飯後のお喋りで徐々に縮まってきてる。
だって琴美さんって…、バリバリ家事もこなしちゃうのかと思えば、おっちょこちょいでよく失敗はするし。
料理の味も正直……微妙。
でも、私とお父さんとアツの為に一生懸命になってくれる。
そんな琴美さんがお父さんは可愛くて仕方ないみたいだった…。
娘としては妬けるけど……お父さんの気持ち、私もわかるかも。
見た目は綺麗で何でも出来ちゃいそうな人なのに、蓋を開けたら不器用で…、でもそんな所も琴美さんの魅力だと思った。