寂しそうに笑いながら…美桜の薄い唇が動く。


「好きな人…うん……そうなんやけど忘れられないねん」

「ずっとその人の事が好きなん?」

「………うん…………」




深くは聞けなかった。

でも、そんな顔見たら…美桜がすごくその人を想ってるのがわかる。


「…フフッ……なんか暗くなってごめんなー。華凛には言っておきたかってん」

「…私でいいならいつでも聞くよ…」

「ありがとう……華凛はめっちゃ良い子やね…」


美桜の綺麗な指が頭をなでなでしてくれるから、ドキドキした…。

本当に…、女の私でもこんなにドキドキするのに。
美桜の好きな人はドキドキしないのかな…?


1人で心の中にツッコミを入れてた時、思い出したように美桜が聞いてきた。




「華凛は好きな人は?」

「……へっ?…」

「だーから、好きな人…いないのかなって前から聞きたかってん」











また……




また…泣いてるあの人が頭の中に浮かんできた。


その記憶を振り払うみたくぶんぶんと頭を振る。


「好きな人いないねんー。こんなに青春真っ只中やのに…。美桜の胸の痛みを少しでも分けて欲しいわ…」

「…プッ、アハハハハ!!…ほんまに…華凛と話してると好きやって悩みが小さく思えてくるわ」

「えーっ、私は本気なんやけど…」

「うんうん、青春しなさいな!」