甘きゅん【完】




文化祭当日。


「成瀬さん。
落ち着いてっ」


リーダーでドラムの増井くんが、あたしにペットボトルのお水を渡してくれる。


「大丈夫だから。
絶対、成功するから」


おろおろと励ましてくれる隣で、奥沢准は静かに目をつむっていた。


昨日、あたしの演奏を聞いても、何も言ってくれなかった。


司と増井くんは目をまん丸にして驚いて。


そしてすごく褒めてくれたけど。


奥沢准だけは、最後まで無言だった。