「……………あ……」

一瞬にして奪われたのだ。

白い肌に茶色の瞳。

ふわふわと揺れた長い黒髪。

黙ったまま女を見つめていると「何だ?気絶してんのか?」と首を傾げている。

それが、また俺の心を鷲掴みされる。

携帯が鳴ったのか取り出して誰かと話している。

「そのハンカチやる!
怪我、何処かで手当てしろよ」

俺の前から立ち去っていく。

名前を聞くんだったな…。