「…くそっ!走りにくいんだよ!」

下駄を片方の手に持ち、浴衣の裾を持ち上げて、裸足で走っている人間に視線を向けている。

隠れそうな場所を発見し身を屈めて携帯で、ある人物に電話をかけた。

「し、祥太!今何処にいる?」

『どうした?何か慌ててるけど』

「何処にいんだ?」

思わず、大きな声を出してしまい咄嗟に口を手で隠した。