俺は今、喉から手が出るほど金が欲しい。

時間はあまり残されていない。

だから、通っていた大学をやめた。

バイトの数を増やし、一日の大半をそれに費やしている。

だが、それでも間に合わない。

そうわかっていてもやめることもできず、半ばあきらめ機械的に仕事をこなしてきた。

そんな時に現れたこの男。
見た目はうさんくさいが、普通じゃない匂いがする。
溺れるものは藁をもつかむと言うが、なるほど。

身を持って知らされた気がする。

振り返えると、男はにやりと笑った。

その顔はすべてを見透かしているかのようだった。