「佐々木……、佐々木祐二君だね?」

深夜、コンビニでのバイトを終え帰宅しようと自転車に跨がった時、いきなり声をかけられた。

振り返ると、ひょろりとした痩せ型の男が立っていた。

年は三十くらいだろうか。

髪は短いがボサボサで無精髭を生やしており、頬はこけおよそ健康的な生活を送っているとは言いがたい風貌だった。

よれよれのスーツがそれを、一層引き立てている。

「あの……、どちら様ですか?」

どれだけ頭を捻らせても、こんな知り合いがいた記憶はない。

少し警戒をして尋ねる。


「佐々木祐二君だろ?」

が、こちらの話は全く聞いていないようで同じ質問を繰り返す。

確かに俺は佐々木祐二だが、相手の素性も目的もわからない状況で認めるのは危険だ。