「もう1年か…
紗那がいなくなってから」

そう呟く亜樹人は
愛しいものを抱きしめたような
切ない声だった





亜樹人はそのまま言葉を続ける

「皆、あいつのいない世界に
すっかり慣れてる。
まるで、最初からいなかったみたいにな」



「笑うしかないんだよ
あたし達は。」





そう言ってそっと目を閉じると
やわらかな笑顔が浮かぶ。




鈴木紗那
1年前の桜が咲く日
交通事故で還らぬ人となった
あたしの大親友


そして、亜樹人の彼女