「ぇ」 声が掠れて音になったのかも分からない あたしの前でジッとあたしを見つめるその視線の持ち主は 紛れも無く あたしの初恋の人で あたしの人生を闇に包み込んだ人だった この光景が、今あたしが見ている映像が、嘘だと言って 夢だったんだよって言ってよ でもね、分かってるんだ これは嘘なんかじゃない 夢でもない 隠しようの無い現実で 眼の背けようの無い事実なんだって だって見間違える訳無いもの