隣町の彼は、





「…趣味だから飽きはしないよ。馬鹿和」




平然を装いカメラを構えテキトーにサッカー部の写真をパシャっと撮る。

何回も何回もシャッターを押す。


何を写したいか、どう写したいか、なんて考えてられない。
第一、何を写しているかもわからない。


でも何も考えたくない。
だから撮る。

でも、尚紀の事は考えられずにいられないこの状況。




「馬鹿ですいませんね。…あ、最近どう?その…良太と」



尚紀はサッカー部を見ながらそう聞いた。
光がまぶしいのか目を細めている。


あたしは良太の名前が出て少し動揺する。
いや、少しだけじゃないかもしれない。

笹井良太。


あたしはきっと今、良太が苦手だ。
苦手と言うよりも、嫌いにほぼ近い苦手。

理由は…色々。



「…ん、普通…」


そう一言返した。