隣町の彼は、


下駄箱には帰る生徒、数人がちらほらいた。

私は下駄箱に置いてあった荷物を急いで持ち、校門へ急いだ。


「…ご、ごめん」


肩で息をする私に彼は言った。


「大丈夫か?俺全然待ってねーよ」


良太は単純に言って、モテるんだ。

性格は優しいし、顔はいいし、運動神経も抜群だし、何より…お金持ちだし。


完璧、って言葉が相応しくて。


でも、勉強がだめって言うのもギャップがあって良太の事が好きな人たちはいいみたい。



「んじゃどこ行く?放課後デート」


そう言って指をからませ手をつないできた。所謂、恋人つなぎ。



「…どこでもいいよ」



どこでもいいよなんじゃない。

どうでもいいの。

むしろもう帰りたい。

自由にさせてほしい。

笑わないでほしい。

恋人アピールしないでほしい。

優しくしないでほしい。

嫌いになってほしい…。