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「……海を渡るの?」


目の前に広がる青に目を奪われつつルークに尋ねる。

海…初めて見た。
本で見たものよりずっと美しい。
これがどこまでも広がる水の大地……


あの町を出てから一月ほど経ったある日、私達は港町アクアに来ていた。



「あぁ…。カエヌ地方はどの大陸からも孤立している。ここからは船で行くのが一番の近道だ」


ルークは私の手を引いて船へと乗せてくれた。


「にしても…大きな船…。何かの客船なの?」


美しい女神の装飾に三階建ての船。きらびやかな服をまとう人間達……


「これはカエヌ地方の一つ前、ルシアール地方までの交通船だ。ルシアール地方は貴族だけが住まう土地だからな…交通船も豪華なんだろう」


ルークは感心なさげにズカズカと船へと乗り込む。


豪華客船…
貴族専用………


あれ……?
私達ってこの船に乗っても平気なの…?


「セシル、早くしろ。
誰かに見つかる」

「……………????」


船に乗るのに誰かに見つかるとまずいの?