†導かれる聖女†



『皆、イナくなっちゃッタんダ。ドウシてカな…?
君タチが…消シタの…?』


ガクン、ガクンと肩を揺らしながらこちらへと歩いてくる。


ルークは無言で私を背中に庇った。


『…手遅れだな』


ルークの一言に悲しみが心を支配する。


「約束…したのに……」

「約束?」


私の小さな呟きを聞いたルークは怪訝そうに私を見る。


「…アデルのお父様と約束をしたの。息子を助けてほしい…私も助けると…」


なのに……
これじゃあもう…


「肉体は腐敗し、消滅してしまう…」


ごめんなさい…
約束を守れなくて…
でもせめて、彼の魂だけは…


「ルーク…
戦ってくれますか…?」


ルークの紅い瞳を見上げる。彼を戦わせたくは無い。


契約はルークの目的地まで私を守る事…戦いは契約外だ。


「力の無い私には、悪魔は倒せない。だから…」

「…戦い専門だからな。
遠慮しなくていい。俺はお前を守ると契約した。それは肉体だけじゃない…
その心も共に守る事だ」


ルークは無表情を崩し、優しく笑う。


「ルーク………」


私は少し服を乱し、首筋を現にする。


あなたの優しさに甘える事を許して…


「………少し痛むぞ」


私は頷く。そして、訪れるであろう甘い痛みを静かに待った。


―プスッ


「…ぁっ…………」


自分でも驚くくらいに変な声が出た。
それでもルークは私の首元から離れない。


体から力が抜けて行くのが分かる。
血と力が共にルークに吸い取られていく。