―タン、タン、タン
物凄い勢いで上へと向かう途中、私はルークに声をかけた。
「…ルーク……」
それでも返事が無いのは、続けろという意味。
私はそのまま口を開く。
「人はどうして身近にある愛情に気付け無いのかな…?
沢山愛を受けているのに…
どうして歪んだ捕らえ方しか出来ないの…?」
アデルはどうして父親の愛情に気付けなかった?
どうして…そこには確かな愛情があった筈なのにこんな悲劇が生まれてしまったの?
「それは人であるお前が一番わかってる事じゃないのか…?」
吸血鬼であるルークに私は何を聞いてるんだろう…
人である私が知っている筈なのに…
でも…私はほとんど愛情を受けた覚えが無いから…
でも…確かに愛情はあった。リドムがくれたセシル・ルミエールという名だ。
これは愛情の形。
これだけで…最期に私の名前を呼んでくれただけで…
私は幸せだったから…


