《聖女》


聖書により記されるのは
聖女が世界の救世主だという事だ。


全ての魔を退け
聖のみを放ち全てに
癒しと安息を与える者。


「あぁ…此処は……
なんて暗い所なの…」


安らぎの場所であるはずなのに…
あるのはただの孤独と虚無…


「聖女様、祈りの時間です」


闇夜の教会に訪れる信者達へ捧げる祈りの時間…


それを知らせに来たのは
神官であるリドムだ。


歳老たリドムは今年で
54になる。


私が聖女として君臨してからずっと使えている。


「…今行くわ」


素っ気なく返事をして
着替えを済ませる。


いつからだろう…
いつから私はこんなに冷たい人間になったのだろうか…