「今じゃなくていい。 そのうちもっかい聞くから考えとけ。」
今じゃなくていい、ってより今じゃないほうがいい。
初日から気まずい雰囲気作りたくなかった。
意気地なし。
確かにそうだ。こんなこと凛矢と明良のやつらは考えても
なかったんだろうな。ったく。
「・・・・はい。」
赤い顔のまま答えるコイツ。
「少し遅れてるから、急ぐぞ。」
前にいたはずの4人が見えねーくらい前に進んでやがる。
待ってやるって気持ちねーのかよ。
まぁ、ねーほうがいいけどな。
でなけりゃあんな恥ずかしいこと言えねーしな。
「あの、安曇野君!!」
考えすぎて忘れてた。後ろから走ってくるあいつ。
「なんだよ。」
「あのね、えっと・・・・かっかか、奏太君って呼ばせてください!!」
人前でガッツリ頭下げながら言ってきたこいつ。
よくこんなとこでできるな・・・。
柄にもなく嬉しいけどよ・・・。
「・・・勝手に呼べ。んの代わり、俺も希美って呼ぶからな。」
「うんっ! って、え!?」
