有紀はかなり疲れていたんだろう…眠ってしまった。

「…有紀…ごめん…ね」


僕は有紀のおでこにキスをして、保健室まで運んだ。

「…軽っ…」


ちゃんと食べてるのかな…?軽すぎ…








―――

「…そう…ありがとね…」

「はい…それじゃあ…」




帰る途中…
僕には疑問がうまれた。

―有紀は本当に援交をしたの…?

有紀はその辺の女の子達とは違う…。

本当に…僕の事を悪く言ったの…?





あの日…急に有紀が転校したと聞いた時…
僕にさよならも言わずに転校しちゃうなんて…
何か理由があったんじゃないの…?



そう思った僕は保健室の先生に有紀に今まで何があったのか…聞いてみた…。


「…わかったわ…話す…」






信じられなかった…


全部…聞いた…
両親に何も聞かされずに引っ越しをさせられた事。

来る途中に…両親が亡くなった事…有紀だけが…一人…生かされたこと…。

優花は…援助交際なんてしていないってこと。

何度も…自ら命を絶とうとしたこと…。




あまりにも残酷な過去を黙って僕は聞いていた…。


「…木村君…お願い…あの子を信じて…?救ってあげて…?」



僕は保健室を飛び出した。