「それよりお前」

1人でテンションのあがっている本村に、僕は待ったをかけた

「勉強はいいのか?もう9月だし…大学受けるんだろ?」

「ああ、いいのいいの。俺推薦もらうから」

と、本人はいたって気にしていない様子である

なるほど彼は成績は並だが素行はいい

推薦は容易にもらえるのだろう。

なんと計算しているやつだ。

「それよりそれより〜」

本村が急に近づいてきて、僕の肩に手をかけた。

「お前はどうなのよ、例の子♪」

そう。こいつは僕がこの学校で唯一、彼女の存在を話している。

「お前の話じゃあ、その子ヤマ女子なんだろ?」

ヤマ女子…というのはいわゆる森ガール的なものではなく、この大旗ヶ丘のすぐ近くの山撫女子高校(やまなでじょしこうこう)のことである