もういやだ、あんなイジメ。

苦しみたくない……死んでしまえ。

そうすればきっと。

あいつらだって………!!!



グッ


足をフェンスの外に出した途端、屋上に強風が吹いた。


「死ぬの?」


そして綺麗な声が聞こえた。


「え?」

「ねぇ、死ぬの?」


何処にでもありそうな学校の制服。違うのは青い瞳と金の髪。

日本人ではないこの少女。

それに…気配がなかった。いつの間にか音をたてず背後に居た。


「死ぬの?……返事してくれる?」

「え、あ…」

「もう一度聞くよ。死ぬの?」

「……そうだよ!!あいつらに死んで復讐してやるんだよ!」


整った顔立ちの少女は表情を変えず聞いてきた。



「あいつらって、誰?」

「…僕をいじめた奴ら」

「ふぅん」


少女はフェンスに腰かけた。


「な、なにして……」

「休憩」

「はぁ?」

「君、分かってるでしょ。死んだところで何も変わらないよ」


少女は静かにそう言った。